お寺 × Claudeで「法事の事務60分」を5分にした話
【みんなのAI活用 vol.007】ゲスト:コウブン@僧侶×AIさん
KEITOのメルマガは皆さまの支援によって成り立っています。今後の配信も見逃さないために無料購読をお願いいたします。また有料購読でのご支援もご検討ください。
「みんなのAI活用」は、いろいろな職場や暮らしの中で生まれているAI活用を、KEITOと一緒に見ていくシリーズです。
今回のゲストは、栃木県真岡市の曹洞宗・蓮城院で副住職を務めるコウブンさん。
檀家70軒を抱えるお寺で副住職を務めながら、栃木県宗務所の書記も担当されています。前職はホンダ系R&Dで、自動車開発に約15年携わっていたエンジニア。38歳のときに大本山永平寺で修行し、現在は「禅 × テクノロジー」を掲げて、寺務の自動化に取り組んでいます。
コウブンさんの日本語版Substackはこちらです。
今回のAI活用
KEITO:
コウブンさん、今日はよろしくお願いします。今回はどんなAI活用を紹介してくれますか?
葬儀社さんなどから依頼を受けて出向く法要の事務作業を、AIを活用して1件あたり60分から5分まで縮めた話です。
KEITO:
お寺のAI活用ですか!?興味深いです。
はい。お寺というと、自分のところの檀家さんの法事を思い浮かべる方が多いと思います。ただ、今回扱うのはそれとは別の仕事です。
葬儀社さんなどを通じて依頼を受け、外へ出向いて行う法要。その裏側にある事務作業を、Claudeにかなり任せています。
以前は、施主名・日時・お布施・依頼元が書かれた依頼書を受け取ったあと、予定を登録し、法要後にお布施額・走行距離・経費を記録していました。PDFやFAXで届く書式は相手先によってバラバラです。1件あたり約60分。年間150件ほどあるので、事務だけで年間150時間が消えていました。
今は、普段使っているClaudeにお寺専用の「作法」を覚えさせています。
依頼書PDFから、施主名・日時・金額を読み取る
出納帳のCSVに1行追記する
Googleカレンダーに法要の予定を登録する
法要後の経費や走行距離も、写真から読み取って記録する
新しく高価なツールを契約したわけではありません。普段使っているAIに、お寺の仕事の流れを覚えさせただけです。紙やPDFの情報を手で打ち直している方なら、業種を問わず応用しやすいはずです。
Q. それはどうやってやるんですか?
KEITO:
Claudeに作法を覚えさせるというのは面白いですね。では具体的にどのように進めているんですか?
3ステップです。
依頼書を受け取ったとき、法要が終わったあと、そして月末に結果を確認するとき。この3つの場面でAIを使います。
STEP 1:届いた依頼書のPDFを、そのままClaudeに渡す
葬儀社さんなどから届いた依頼書のPDFを、Claudeにそのまま読み込ませます。PDFでも、FAXをスキャンした画像でも大丈夫です。
Claudeには、あらかじめお寺用の作法を仕込んであります。そこに沿って、施主名・日時・お布施の予定額・依頼元を読み取り、出納帳CSVへの追記とGoogleカレンダー登録まで一気に進めます。
ポイントは、依頼元ごとに違う書式の「クセ」を先に覚えさせておくことです。最初から完璧な汎用AIにしようとするより、「この葬儀社さんの依頼書は、ここに日時がある」という小さなルールを積み上げるほうが安定します。
※画面内の個人情報にあたる箇所は黒塗りしています。
STEP 2:法要のあとは、出先のスマホから「撮って」送るだけ
以前は、法要が終わってお寺へ戻ってから、あらためて手入力していました。今はスマホのClaudeでその場で済ませます。
お布施の額は、その場でひと言入力。経費のレシートや走行距離のオドメーターは、写真を撮って送るだけです。AIが写真から金額や距離を読み取り、出納帳に記録してくれます。
日々の指示は、かなり短くしています。
本日の走行距離を登録してくださいこのレシート、経費に入れておいて複雑なプロンプトは、毎回書きません。お寺専用スキルの中に入れておき、現場では自然な言葉で頼むだけにしています。
読み取りはこれまで30件ほど試して、一度も間違いがありませんでした。コツはひとつだけ。写真を明るく、数字が大きく見えるように撮ることです。
STEP 3:お寺に戻る頃には、出納帳ができている
受領時の予定額と、法要後に記録した実際の額・経費・走行距離が、ひとつの出納帳にまとまります。
私がやることは、月末にその月の集計を確認するだけです。確定申告の時期も、この出納帳がそのまま使えます。日付・依頼元・法要種別・お布施・走行距離などが一覧で並ぶので、「あとで思い出す」作業がほぼなくなりました。
下の画面では、月次レポートとして法事件数、お布施総額、経費合計、純収入、総走行距離まで見えるようにしています。
※画面はサンプルデータです。
Q. これで仕事はどう変わりましたか?
KEITO:
ありがとうございます。これでどのくらい仕事が楽になりましたか?
数字で言うと、1件60分が5分になりました。年間150件あるので、ざっくり年間137時間。丸6日分の事務作業が消えた計算です。
ただ、本当にうれしかったのは、削れた時間そのものよりも、事務を「持ち帰らなくてよくなった」ことでした。
以前は、法要から戻ってきたあとに、お布施の額や経費を思い出しながら机に向かう時間がありました。法事のあとは本来、いちばん心を整えておきたい時間です。それが事務で途切れるのが、地味に応えていました。
今は現場で撮って送れば終わります。戻ったあとは、次の準備や、関わる方々との対話に頭を使える。ここが大きく変わりました。
お寺の事務は、外から見えにくい仕事です。それでも、こういう裏方の手作業から解放されると、僧侶として本当にやるべきことに時間を戻せます。AIを入れて一番大きかった変化は、そこでした。
Before / After
Beforeは、1件60分。年間150件。依頼書を受け取ったときの登録、法要後の収支記録、走行距離や経費の入力まで、すべて手作業でした。
Afterは、1件5分。依頼書はClaudeが読み取り、経費や走行距離は写真を撮って送るだけ。年間の事務時間は150時間から12.5時間まで減りました。
これは、お寺だけの話ではないと思います。
PDFや紙の書類を見ながら、同じ項目を別の表に打ち直している。外出先で起きたことを、帰ってから思い出して記録している。そういう仕事は、どの業種にも残っています。
AIに任せるべきなのは、判断そのものよりも、まずは「忘れないうちに記録する」「同じ場所に集める」「あとで見返せる形に整える」ことなのかもしれません。
KEITO:
ありがとうございます。お寺業務をAIで効率化するというのはとても興味深かったです。
もっといろんな現場のAI活用を見たい方へ
「みんなのAI活用」では、こうやって日本全国のリアルなAI活用を一人ひとり集めていきます。
今後の事例を読みたい方は、KEITOのメルマガを購読してください。
「自分のAI活用も紹介したい」という方は、[チャットルーム]で定期募集してますのでお気軽にどうぞ!業種・規模・スキルレベルは問いません。
次回も、現場から出てきた使い方を紹介します。
最後まで読んで頂きありがとうございます。KEITOのメルマガは皆さまの支援によって成り立っています。今後の配信も見逃さないために無料購読をお願いいたします。また有料購読でのご支援もご検討ください。











とても興味深かったです。
お寺さんと事務作業が結びついていなかったですが、そのような作業もされていらっしゃるのですね。
Claudeでどのように頼んだらそのようなシステムが出来上がるのかとても興味が湧きました😃